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北海道4(戦跡)

根室トーチカ 友知地区 根室市 2002年09月訪問

トーチカはロシア語で「点・地点」という意味で、軍事用語としてはコンクリート製の防御陣地のことです。太平洋戦争では、戦況が悪化して本土決戦が叫ばれるようになった末期、日本の太平洋岸各地に米軍の本土上陸を阻止するためのトーチカが造成されました。このうち、現存するものは北海道に多く、根室、十勝川河口付近、大樹町、苫小牧などに点在しています。

終戦後、半世紀以上が経ち、トーチカの存在は人々の記憶から忘れられつつありました。しかし近年、戦争を知るための大切な記憶の1つとして保存活動が行われています。

写真は根室市友知に残るトーチカです。根室にはこの他にも数カ所残っています。(後年訪問しています)

戦争関連の遺跡、いわゆる戦跡は、長年、人々に「忌むべき存在」として、保存や継承活動が積極的になされることはありませんでした。おそらく、日本人として消し去ってしまいたい存在だったのかもしれません。「戦争の遺物=悪」といったところでしょうか。しかし現在、もっと広い視点から戦跡を捉える動きが高まっています。

単に忌むべきものではなく、「どうして、あのような愚かな戦争に突き進んでしまったのか、もう二度と同じ過ちを犯さないためには、今何を考えるべきなのか」そうした問いかけを与えてくれるのが戦跡の存在です。戦跡を知ることは、今の私たちにとってとても重要であり、次の戦争を招かないための予防策の1つになると僕は考えています。

大樹町トーチカ 海岸部 広尾郡大樹町 2004年10月訪問

海岸線で波風に洗われる数体のトーチカ群。大樹町のトーチカ群は砂浜に埋まったり大きく傾いたりと、荒廃が進みつつある状態です。この姿を見ると何か胸を締め付けられて、ただただじっと見つめてしまいます。日本本土に造成されたトーチカは実戦で使われることはありませんでした。

米軍の上陸に怯えた軍が急ごしらえで作ったトーチカ。このトーチカの光景を見ると、僕は同じ日本人として何とも言えない切ない気持ちがこみ上げてきます。

トイトッキ浜トーチカ 中川郡豊頃町 2006年10月訪問

大樹町のトーチカ群のある太平洋岸で少し北に上ったところにあるトイトッキ浜。ここにもトーチカが残っています。トーチカはどれもちょっとずつ形が違っていてます。ここのトーチカはだいぶ砂浜に埋まっているようです。

裏に回ると、見ての通り入り口がほとんど埋まっていました。あいにくの天気で写真はパッとしません。ここはぜひともリベンジしたい物件です。

函館要塞 函館市 2010年09月訪問

2010年9月は、長いお休みの前半で函館要塞、後半で小笠原の父島要塞と、北から南の戦跡を巡りました。サラリーマンの癖によくぞこんな旅ができたもんです。

上の写真は、千畳敷戦闘司令所跡です。施設中央の円柱は測遠機を置く台座です。海上の敵艦との距離を測る機械です。施設内部には電話室などもあります。遠くに見えるのは函館山の展望台です。テレビの電波塔などもありますが、こちらもかつての要塞施設の上に建っています。

司令所から南方向、津軽海峡を望む風景です。遠く下北半島が見えています。多くの船舶が行き来する姿を見ることができます。

レンガで作られた司令所内部。内部はやや複雑な間取りとなっています。

こちらは砲座跡、つまり砲台が設置されていた場所です。肉眼ではわかりませんでしたが、ほんのわずかに迷彩色が残っていますね。

函館要塞は函館市内から近く、僕は2時間ほど歩いて施設を見て回りました。ちょっとしたハイキングに最適です。ただし司令所付近まで行くと自販機などありませんから、我慢するか飲み物を持って行くとよいでしょう。僕は我慢しました。また9月に訪問しましたが、スズメバチの巣があって大変危険な箇所もありました。ご注意いただきたいと思います。

なお、函館要塞については、函館市のホームページに「函館要塞散策マップ」という大変わかりやすいパンフレット(PDF)がありますので、ぜひとも参考になさってください。

根室トーチカ 桂木地区 根室市 2010年10月訪問

また根室のトーチカが見たくなって訪問しました。今度は桂木地区のトーチカです。こちらも2体のトーチカが残っていました。

桂木のトーチカは何もない荒野にポツンとありました。まだ午後2時ごろだというのに、あたりは少し日がかげりつつあります。秋の北海道は日が短く、冬の到来を予感させる独特の切なさが漂っています。

大樹町トーチカ(2回目)内陸部・海岸部 広尾郡大樹町 2012年10月訪問

大樹町のトーチカもやはりもう1度見たくなって再訪しました。今回は内陸部に残っていたトーチカを見ることができました。こちらのトーチカ、平成20年(2008年)に町有林の伐採作業中に偶然発見されたものだそうです。太平洋岸に出ようと思って車をあちこち走らせていて、たまたま出くわした物件で、事前には知らなかったのでラッキーでした。

詳細は大樹町のホームページに載っています。パンフレット(PDF)もありますね。

太平洋岸に残るトーチカは健在。広い海岸線にポツポツと残るコンクリートの残骸。なんともシュールな光景です。

天候にも恵まれ、とても素晴らしい訪問となりました。末長く残り続けてくれることを期待します。

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